2010年09月18日

アイドルコラージュ異聞編パロ(1)

やっとの思いでアイコラ異聞編の03を完成させましたが、なんと!
あの舞方雅人様から、沙弥香の脳内妄想ブログ開設5周年記念のお祝いにと、ものすごく素敵なSSを頂きました!\(^o^)/

氏にお伺いしましたところ、こちらで発表しても良いと快諾を得ましたので、今宵、一気に公開いたします。
(でも、文字数制限にひっかかりましたので、2回に分けます。)

このSSを書かれた詳しい経緯などは、舞方様のブログ(http://masatomaikata.blog55.fc2.com/)で、明日、ご説明されるとのことです。

というわけで、図らずもこの素晴らしい作品が記念SSとなりましたww
(なんという他力本願・・・ww)

それでは、まずは(1)として前半部分を公開いたします。
始まり始まり〜ww

**************************************************************

「ふう・・・やれやれ、今日も一日終わったな」
自宅の明かりを見るとホッとする。
このところの残業で今日も帰りは九時過ぎだ。
納期を遅らせるわけには行かないのに、手が遅い連中が多すぎる。
今日も部下の盛沢(もりさわ)を怒鳴りつけてやった。
盛沢も能力が無いわけではないのだが、どうもそのメタボな体形から動作がスローモーに見えてしまう。
それに自分自身が太っているからか、盛沢を見ているとなんだか自分の無様さを見せ付けられているようで気分が悪いのだ。
だからついつい怒鳴りつけてしまうことが多い。
そうするとデブが首をすくめて恐縮するものだから、ますます無様に見えてくる。
こっちの嗜虐心にも火がつくから、ますます怒鳴ってしまうのだ。
まあ、あいつを怒鳴ることで開発部全体が引き締まるのだから、奴も役に立っているのだろう。
明日も奴には役立ってもらおうかな・・・

そういえば・・・
開発一課の市原君、最近ずいぶんと色っぽくなったなぁ・・・
以前から美しい女だったが、最近はなんと言うかぬめるような色気のようなものを感じる。
眼差しも色っぽく、あの目を見るだけで思わず勃ってしまいそうだ。
今日も報告書にかこつけて呼び出したが、俺の前に立っている彼女は実にいやらしい感じだった。
彼氏でもできたのかもしれないな・・・
瀬澤君といい市原君といい、開発部にはなかなかいい女が揃っている。
機会があればあいつらと一回ぐらいやりたいものだ・・・
おっと、いかんいかん。
もう玄関先じゃないか。
にやけていたら絵美子に何言われるかわからんぞ。
用心用心。

門を通り玄関先に立つ。
小さいながらも土地付きの自宅だ。
庭だってちゃんとあり、妻の絵美子が花壇を作ってくれている。
50前で開発部長という地位を手にいれ、こうして自宅も持っているのだ。
そう悪くないだろう。
俺は玄関脇の表札に「樺崎」と自分の苗字があるのが誇らしかった。

呼び鈴を押してしばし待つ。
すぐに玄関の明かりがついてドアが開く。
「お帰りなさい、あなた。遅かったのね」
妻の絵美子が笑顔で出迎えてくれる。
結婚したときからこの笑顔は変わらない。
いや、多少は目じりに小じわなどもできたが、それもまた絵美子の魅力を損なってはいない。
実際こいつを射止めたときには同僚からうらやましがられたものだ。
この笑顔が俺だけに向けられる。
これを優越感と感じない男はいないだろう。
「ただいま」
俺はそう言って家に足を入れた。

「ぐはっ!」
突然俺は背後から突き飛ばされた。
妻の絵美子に抱きつくようになって玄関に転げ込んだ俺は、一瞬何が起こったのかわからない。
「あ・・・ああ・・・」
俺に抱きつかれて尻餅をつくような形になった絵美子は、なんだか恐怖の表情を浮かべて外のほうを見つめている。
いったい何があったんだ?
俺は両手で躰を支えつつ後ろを振り向いた。

「!」
俺は言葉を失った。
俺を突き飛ばして玄関に入ってきたのは、直立した巨大な茶色いゴキブリだったのだ。
「グゲゲゲ、おとなしくしろお前ら」
額からのびる長い触角をふるふると震わせて、巨大なゴキブリが言葉をしゃべる。
「な、何なの・・・ば、化け物?」
目の前に立つ巨大なゴキブリに言葉が出ない絵美子。
無理もない。
俺もすっかりあまりのことに声がでなかったのだ。

「グゲゲゲ、黙れ。ぶち殺すぞ」
黒々とした単眼をギロリと向けられ、絵美子は思わず口を閉じる。
俺はというと、情けないことに先ほどから声がでない。
そこにいたのはまさしく直立したゴキブリだった。
茶色と黒の入り混じったような外骨格に覆われ、頭部には長い触角と黒い単眼が光っている。
腹部は蛇腹のような節になっており、背中には固い翅が付いているようだ。
驚くべきは、わき腹からゴキブリの脚が生えているものの、全体のフォルムは人間っぽく、肩から伸びる腕も股間から伸びる脚もまさに人間の形をしているということだ。
いわばゴキブリと人間の融合したものというのが目の前に立っているものの姿だった。
そしてそのゴキブリは片手にノートパソコンを持っている。
それがまた奇妙な感じだった。

「グゲゲ、行け。中に入るんだ」
ゴキブリがあごをしゃくる。
俺はすっかりこの奇妙な化け物に度肝を抜かれてしまい、おとなしくいうことを聞くしかないと思った。
絵美子もそうだったらしく、無言で立ち上がるとあとずさるようにリビングに向かう。
「お前はいったい何者だ? いったいうちに何の用なんだ?」
俺はリビングに向かおうとしつつも、玄関に立つゴキブリに向かってそう言った。
「グゲゲ、今にわかる」
ゴキブリは俺の背中を押すようにして俺のあとについてくる。
俺はどうしようもなく黙ってリビングに入るのだった。

「グゲゲゲ、座れ!」
あごをしゃくって俺たちにソファに座るようにいうゴキブリ。
その威圧感に俺は絵美子の肩を抱きながらソファに座るしかなかった。
不気味な巨大ゴキブリに肩を震わせている絵美子。
かわいそうに。
それにしてもこいつは何者だ?
まさか何かのいたずら企画じゃないだろうな。
もしそうなら度を越えている。
訴えてやるぞ。

「お帰りなさい、お父さん」
なんてこった・・・
俺は思わず天を仰ぐ。
自室でおとなしくしていてほしいと願った娘が来てしまったのだ。
「理璃子(りりこ)、来るんじゃない!」
「来ちゃだめ!」
俺と絵美子がほぼ同時に声を上げる。
だが、遅かった。
ノートパソコンをテーブルに置いたあのゴキブリ野郎が、巨体に似合わず敏捷な動きで、リビングに入ってきた理璃子を捕らえてしまったのだ。
「きゃあー!」
右手をいきなり後ろ手にねじ上げられ、理璃子が悲鳴を上げてしまう。
「グゲゲゲ、もう一人いたか。おとなしくしろ!」
「ひいっ」
巨大なゴキブリが間近で腕を締め上げているのだ。
理璃子は真っ青になってうなずいた。
「やめろ! 娘には手を出すな!」
「お願いです! その娘には手を出さないで」
俺は必死に声を上げる。
くそっ、どうしてこんなときに躰がすくむんだ・・・

「グゲゲゲ、安心しろ、おとなしくしていれば何もしない。俺様が用があるのは樺崎部長、お前だけだ」
そう言ってゴキブリ野郎は理璃子を俺たちのほうに放ってよこす。
俺はよろめいて倒れこむ理璃子をそっと抱きとめた。
「樺崎部長だって? お前、俺の会社の人間なのか?」
俺は理璃子を絵美子に預け、ゴキブリ野郎に眼をやった。
こいつはいったい何者だ?
見れば見るほど本物のゴキブリが人間と一体化したような姿だが、これは着ぐるみか何かだとでも言うのだろうか・・・

「グゲゲゲ、いまの俺様の姿を見てわからんのも無理はないが、以前の俺様は盛沢秀司という男だったのさ」
「盛沢? お前あの盛沢だというのか?」
俺は驚いた。
あのデブがこのゴキブリだと?
「グゲゲゲ、ああ、そうだ。もっとも、今の俺様はデスエロンの魔怪人ゴキブリブラウン様だがな。グゲゲゲゲ」
奇妙な笑い声を上げるゴキブリ。
だが、こいつが盛沢だとわかってしまえば怖くない。
あのヘタレが何をとち狂ったのかは知らないが、これでも若いころは柔道を少しかじった身だ、少し懲らしめてやる。
「グゲゲゲ、おい、樺崎。いつもいつも俺様をずいぶんとコケにしてくれたじゃないか。だが、それも今日で終わりだ。見ろ、俺様のこのすばらしい躰を。俺様はブラッディヒルのおかげでこうして生まれ変わったのさ」
ゴキブリ盛沢は自分の躰を誇らしげに見せ付けてくる。
正直吐き気しか思わない。
先ほどまでの恐怖感が嘘のようだ。
正体がわからなかったから恐怖を感じていたということなんだろう。
「ふん、お前にふさわしい躰になったというわけか。このゴキブリ野郎め」
「グゲゲゲ、俺様の正体がわかったことで、少しは元気を取り戻したか?」
ゴキブリ盛沢が笑っている。
だが、笑っていられるのも今のうちだ。
とっとと追い出してやるぞ。
俺は立ち上がった。

「おい、盛沢。そろそろいいかげんにしろ。ゴキブリ男だかなんだか知らないが、俺は仕事を終えて帰ってきて疲れているんだ。お前のくだらない趣味に付き合うつもりはないんだ」
俺は威圧のつもりで奴の胸をつんと小突く。
腰抜けの盛沢は、いつもこれだけで腰砕けになってしまうのだ。
だが、俺の腕はがっしりと掴まれてしまった。

な、何だこれは?
俺は背筋が寒くなるをの感じた。
俺の腕を掴んだ奴の手は、つややかに光ってひんやりと冷たく、まさに外骨格そのものだ。
これが着ぐるみの手だというのか?
それに何よりこの力の強さは何だ?

「うぼっ!」
いきなり強烈な衝撃を腹部に感じ、思わず声を上げてしまう。
その衝撃が腹を殴られたからだと気が付いて、俺は力が抜けてしまった。
触角を震わせ、ギョロギョロした単眼で俺を見ている巨大ゴキブリ。
つややかな茶色の外骨格が光っている。
こいつは本物だ。
こいつは本当の化け物なのだ。

「ぐはっ!」
ひざが俺の腹を打ち、頬にはきれいにパンチを食らう。
俺はたまらず床に吹っ飛んだ。
「あ、あなた!」
「お父さん!」
倒れこんだ俺を絵美子がかばうように抱きかかえてくれる。
「お、お願いです、やめてください。この人が何かしたのなら謝ります。ですからもうやめて・・・」
絵美子が必死に頼み込んでいる。
悔しいが、一撃を食らったことで俺はまったく立ち上がる気力もない。
あるのは目の前のゴキブリに対する恐怖だけだった。

「グゲゲゲ、見たか、樺崎? いい奥さんじゃないか。お前を必死にかばっているぜ。お前にはもったいないな。グゲゲゲゲ」
「う・・・うう・・・」
張り飛ばされたせいか、思うようにしゃべれない。
「グゲゲゲ、お前、俺様が怖くないのか?」
「こ、怖いです・・・でも・・・」
絵美子の躰が震えている。
怖くないはずがないのだ。
「愛する旦那のため・・・ってか?」
絵美子がこくんとうなずくのを見て、俺は胸が熱くなった。
絵美子、ありがとう。

「グゲゲゲゲ、いい女だ。気に入ったぜ」
ゴキブリが笑い声を上げ、テーブルに置いたノートパソコンを開きにいく。
何をするつもりだ?
いったい俺たちをどうするつもりなんだ?

「グゲゲゲ、コラージュソフトを持ってきてよかったぜ」
ゴキブリ盛沢は器用な手つきでノートパソコンを立ち上げる。
その間、絵美子は濡れタオルを取ってきて俺の頬を冷やしてくれた。
強烈なパンチで顎がガタガタだ。
俺は目の片隅で理璃子を見た。
どうやら携帯でどこかに連絡を取ろうとしているらしい。
警察を呼んでくれるといいのだが・・・
ゴキブリ盛沢はどうやらノートパソコンに夢中で気が付いてない。
頼むぞ理璃子・・・

「グゲゲゲ、そこの娘、おかしなことはするな。死にたいのか?」
「ひっ?」
理璃子があわてて携帯をしまう。
くそっ、気が付いていないと思ったのに・・・

「グゲゲゲ、ほう、どうやら適性があるじゃないか。これはいい。グゲゲゲゲ」
ノートパソコンの画面を見て笑っているゴキブリ盛沢。
くそっ、何とかしなくては・・・
だが、躰がすくんでいうことを聞いてくれない。
なんと情けないことだ・・・

「グゲゲゲ、そうだなぁ・・・何がいいかなぁ。愛する亭主を切り刻ませるというのもいいかもなぁ。グゲゲゲゲ」
カチカチとキーボードを叩く音が響く。
理璃子も絵美子もただ無言でおびえているだけ。
悔しいが俺ではこいつに歯が立たない。
おとなしくしているしかない・・・

「グゲゲゲ、おっとこいつがよさそうだ。カマキリか・・・ほう、これはなかなか・・・・」
ぶつぶついいながらキーボードを叩いているゴキブリ盛沢。
だが、ときどき単眼を俺たちに向け、おかしな行動をしていないか監視している。
くそっ、どうしたらいいんだ・・・

「グゲゲゲ、ふむ、備考欄か、そうだなぁ・・・性格は残忍に、だが、俺様には親愛の気持ちを持っていることにしようか・・・グゲゲゲゲ」
ゴキブリ盛沢はそう言うと、キーボードを打つ手を止めた。
そしておもむろに俺を見る。
「グゲゲゲ、今からおもしろいものを見せてやる。お前の奥さんがどうなるのか見ているのだな」
「なにっ? 絵美子に何をする気だ! やめろ!」
「うるさい! そこでおとなしくしていろ!」
カチッと音がしてノートパソコンのキーが打ち込まれる。
いったい何をする気なんだ?

「ああ・・・あああ・・・」
突然絵美子が声を上げる。
「絵美子、どうした?」
俺はすぐに絵美子に向き直る。
「ああ・・・ああ・・・」
躰を震わせ、両手で躰を抱きしめている絵美子。
まるで風邪をひいて悪寒に襲われているかのようだ。
「絵美子」
「お母さん」
「ああ・・・あなた、助けて・・・躰が変なの。火照ってくるの。ああ・・・熱い・・・熱いわぁ・・・」
頬を赤らめ、熱に浮かされたようになる絵美子。
いったいどうしたというのだ?
妻に何がおきているのだ?

「盛沢、お前のせいなのか? やめろ・・・やめてくれ。頼む」
俺はもうプライドも何もなく頭を下げる。
俺はどうなってもいい。
妻と娘には手を出さないでくれ・・・
「グゲゲゲ、もう遅い。よく見ていろ」
あごをしゃくって妻のほうを指し示すゴキブリ盛沢。
俺が振り返ると、なんと絵美子が服を脱ぎ始めているところだった。

(2)へつづく

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/sayaka_saotome/51628959