2009年01月24日

ダイエット(IC06) その4

4.
「ペニペニペニ〜ッ!さぁ、オマエは何者だ?言ってみるがいいッ!ペニペニペニ〜ッ!」
先生にそう促されたあたしという存在は、すでに一人の人間ではなかった ―
「ニクニクニクゥゥンッ!!あたしはデスエロンの女魔怪人、ミートアメーバですわッ!ブラックペニス様!このような素敵な体に改造してくださり感謝いたしますわッ!ニクニクニクゥゥゥンッ!!!」
そう、あたしは全身がアメーバのような肉質でどんな姿形にも変幻自在の女魔怪人、ミートアメーバ。
そして、このお方は我らがデスエロンの幹部、ブラックペニス様なのだ。
すっかり変貌を遂げたあたしは、歓喜の極みに嬌声を上げ、我が肉の絨毯をブラックペニス様の目の前に大きく広げて見せる。
あたしの大脳皮質は、ブラックペニス様の全身に無数に生える陰茎を見せ付けられ、さらなる淫狂の極致へと暴走し始める。
そうしてあたしの全身は、悦楽の極みを貪るのにぴったりの肉体へとさらに変態するのだ。
大きく広げたアメーバ状の肉のベールはそのままに、ブラックペニス様の肉棒を扱いている自分の両手をグニグニと変形させる。
あたしの指は10本、20本と分かれてゆき、そのまま肩の付け根まで裂けるように細く分かれてゆく。
それらを駆使して愛しいブラックペニス様の全身の肉棒に絡みつかせる。
「ペニペニペニ〜ッ!!グフフフッ!!すごいぞッ!!久しぶりに全身オルガだッ!!」

ドピュッ!!!
・ ・・・・・・
ドピュルルルルルルルッ!!!

凄まじい音を上げて全身から白濁液を噴きあげるブラックペニス様。
うふふ、どうやらさすがのブラックペニス様も、あたしの全身肉の愛撫には我慢が出来なかったようね。
ああん・・・すごい・・・
この世のものとも思えない淫蕩な匂いがこの診療所の中いっぱいに充満しているワ・・・
ビチャビチャと音を立ててドロドロの白濁液があたしの全身にふりかかる。
それが潤滑液となりあたしをますます興奮させる。
さらなる快楽を貪るため、あたしの大脳は再び全身へと変形指令を出す。
モコモコとあたしの全身から突起物が現れる。
それはニュルニュルと、まるでブラックペニス様の肉棒のように延びてゆく。
伸びきったところでそれぞれの先端がパックリと分かれる。
まるでラッパのような吸引口を先端に持つ無数の触手と化したのだ。
ウフフフ・・・この触手たちを駆使して、あたしは全身に浴びたブラックペニス様のありがたき白濁をすするのよ。

ジュルジュル・・・ズズズズズッ!!

ああー、なんて甘美なお味なのかしら・・・
「ペニペニペニィィ・・・どうだ?俺様の特濃ザーメンの味は?」
「あはぁ・・・最高でございますワ・・・ああん、もっと・・・」
もちろん、自分の全身をすすりつくした後は、全ての触手でブラックペニス様の肉棒を口唇愛撫するのだ。

ジュボッ・・・!!
ジュチュッ・・・チュボボボボッ!!

たまらない・・・なんて素晴らしいお味なのかしら・・・
うっとりしているあたしにブラックペニス様も歓喜の表情で応えてくださる。
「うおおおおッ!今度は全身フェラかッ!どこまでもやるなこやつッ!ペニペニペニィィィ!!」
射精直後の敏感な肉頭を刺激され、たまらず全身を激しく痙攣させるブラックペニス様。
あたしはその律動を舌先に感じ、痺れるような味覚にうっとりとブラックペニス様を見つめた。
見つめていると、あたしの眼球はボッコリと飛び出し、ウニュニュとナメクジの触角のように伸びてゆく。
そしてその先端に、それまでの10倍ほどもあるよな大きさに膨れ上がった眼球がバッチリと目をあけるたのだ。
その熱い眼差しでブラックペニス様の全身を見つめて差し上げる。
すると、あたしの口唇愛撫のあまりの刺激にさすがに精根尽き果ててグンニャリとなってしまったブラックペニス様の肉棒たちは、たちまちのうちに活力を取り戻し、再びビンビンに逞しく聳え立っていくのだ。
「ペニペニペニィィィッ!たまらんゾッ!オマエが相手ならいくらでもイケそうだッ!
 ミートアメーバよ!これでオマエも我らがデスエロンの女魔怪人だなッ!
 これからは我らがデスエロンに忠誠を誓い、その身を捧げて尽くすのだッ!よいなッ!」
全身の肉棒をギンギンに硬直させ、その全ての先端からトロトロと先走り汁を垂らしながら、ブラックペニス様があたしに命ずる。
ミートアメーバ・・・
ホントに素敵な名前だわ・・・ウフフ・・・
あたしにとって、太っているだのやせているだの、もはや関係のないことよ、くだらない―
あたしはこれまでの自分という存在に別れを告げたのだ。
今のあたしは自由自在に自分の姿形を変えられる肉の女魔怪人ミートアメーバなのだ。
ブラックペニス様の肉棒にウジュウジュと音をたてて触手を絡みつかせながら、あたしの全身の肉はオゾオゾと蠢き出す。

ピシッ・・・!!

そして体の中心に大きな縦スジの亀裂がバックリと口を開けた。
そう、あたしは自分自身を極上の「名器」に変形させたのだ。
全身でブラックペニス様を飲み込み、愛撫するのだ。
あたしはその亀裂の内側の肉襞を、ブラックペニス様の全身にねっとりと絡ませるように挟み込む。
「ペニペニペニィ〜!うぉぉぉ!?・・・まさかこれほどとはっ!」
挟み込んだまま、肉襞をうねうねと蠕動させる。
ブラックペニス様の全身の肉棒は、あたしの肉襞に一本残らず翻弄されるのだ。
サーモンピンクのあたしの肉が、肉頭にグニグニと押し付けられる。
すぐにブラックペニス様の肉頭からは特濃の先走り汁が溢れ出す。
それはあたしの愛液と混ざり合い、あたりに素敵な淫臭がふんぷんと充満してゆく。
「うふふふ、さすがブラックペニス様ですわ。これでまた一人、素敵な仲間が増えましたわね。」
受付のほうからそんな声が近づいてきた。
あたしは愛しいブラックペニス様の全身をしっかりと挟み込んだまま、グニュリと首だけを回転させ、その声の主のほうを振り返った。
「ジュクジュクジュク〜!!お楽しみのお二人を見ていたらあたしも我慢が出来なくなってしまいましたわ、ウフフフフ・・・」
そこには全身に卑猥な淫唇を持った一人のおぞましい女魔怪人が立っていた。
パクパクと口を閉じ開くその淫らな亀裂からはドクドクと愛液を垂れ流している。
まぁ、すごい・・・この人・・・なんて素敵なおぞましさなのかしら・・・
あたしは「その人」のあまりに淫猥でグロテスクな異形の美に、思わずブラックペニス様を愛撫している蠕動を緩めてしまったほどだった。
「ジュクジュクジュク〜、あたしはピンクプッシィ、あたしもブラックペニス様の忠実なしもべなのよ。
 ミートアメーバ、ようこそ我らがデスエロンへ・・・ウフフフフ・・・」
まぁ・・・
嬉しいわ・・・
こんな素敵な女魔怪人があたしの仲間だなんて―
嬉しくなってますますカラダを変形させるあたし。
「ペニペニペニ〜!改造ソフト“アイドルコラージュ”による「人類コラージュ計画」はすでに軌道に乗っている。あちらはこのままダークアイズ以下、ブラッディヒルやブルーアナコンダ達に任せておけばよい。我らはさらに新しい計画をスタートさせたのだ!ガハハハハッ!」
ああん、その「計画」で最初に改造されたのがあたしだったっていうわけね・・・
光栄だわぁ・・・
「うふふ、そのとおりですわ、ブラックペニス様。まずは一人・・・それにしても大成功ですわね。」
大成功ですって・・・うふふ
あたしはグニグニと肉襞をうごめかしながら、ピンクプッシィの言葉に酔い痴れていた。
「ペニペニペニィ〜、まったくだ!ミートアメーバよ!われらは診察と称してこの町の住人の適性をチェックしていたのだ。そして、デスエロンの改造人間にふさわしい適性を持った人間はオマエが初めてだったというわけだ!ガハハハハ!それにしてもとんだ逸材が手に入ったわ!」
あはぁん・・・ブラックペニス様まで・・・なんて嬉しいお言葉かしら?
「ニクニクニクゥゥ〜ン・・・ありがたき幸せ・・・もったいないお言葉でございますわ、ブラックペニス様」
あたしは、その言葉にたまらなくなり、ブラックペニス様を挟み込んだまま、自らのベロを極太の肉棒に変形させる。
そしてそれをグニグニと伸ばし、素敵なピンクプッシィの口へとねじ込んだ。

ンボォッッッ!!!

「むぐぅ!!・・・やるわねッ、ミートアメーバ!ジュックーンッ!!
 ウフフ、いいわッ!もっとグジョグジョにあたしのおマンコの全てにぶち込んでちょうだい!!」
すぐにピンクプッシィの全身の陰唇がニッチャリという淫激な音をたてて全開した。
ブハァっと、これまで以上に憂淫な淫臭がピンクプッシィの全身から立ち込める。
たまらないセリフ・・・
ピンクプッシィのその言葉に、あたしはますます発情し、ぶち込んでいた肉棒を二つ、三つと枝分かれさせ、今か今かと待ち受けているピンクプッシィの全身の蜜裂に一本残らずねじ込んであげた。
「ジュックゥゥゥンッ!!!ジュクジュクジュックーンッ!!ひあぁぁ!!いいわッ!たまらないわッ!
 すごいわッ!ミートアメーバ!あなた凄すぎるわッ!いいッ!いいわぁッ!!」
ガクガクと全身を痙攣させて、ピンクプッシィの全身の淫裂から潮吹きが始まる。
それをピチャピチャと全身に浴び、無数の肉棒の先端からはピンクプッシィの淫裂を、そして陰唇と化したあたしのボディ全体からは愛しのブラックペニス様の肉の突起の全てを、それぞれ狂激に感じ取る。そうして、女魔怪人に改造された我が身をあらためて眺めながら、あたしは至福の思いに浸るのだった。
ああん・・・さ・い・こ・ぉ・・・


  

Posted by sayaka_saotome at 02:24Comments(5)

2009年01月22日

ダイエット(IC06) その3

3.
「え?」
今、先生の口から何か変なものが・・・
げ、幻覚?これもク、クスリのせい・・・?
「どうしました?フフフフフ」
ますます下卑た表情で笑う先生。
「あ、ああああ・・・・」
幻覚なんかじゃない・・・クスリのせいじゃない・・・
先生の口からブヨブヨとした肉塊が伸びてきたのだ。
それは舌などではなく、ものすごく醜怪な・・・
あ、あの・・・その・・・男の人のアソコのような形をした・・・
とても不気味な肉塊だった。
「ひぃッ・・・そ、それッ!?・・・せ、先生ッ!?・・・あなたは、いったい・・・?!」
私はいうことのきかない体にムチを打ち、火事場のなんとやらでイスから立ち上がろうとした。
しかし、時、既に晩(おそ)し ― だったのだ。

ビュルルルルッ!!

おぞましい肉の音を発しながら、先生の口から「陰茎」が伸びる。
「陰茎」は先生の手の中のクスリを絡め取り、私の口の中へと無理やり侵入してきた

ズボォォッ!!!!

「むぐッ!・・・うぐぅぅッ!!!」
強制的にクスリを飲まされた私 ―
いや、飲まされたというよりも、喉を通り体の奥深くまで侵入してきた肉棒によって胃袋の中へ錠剤を「置かれる」感覚だ。

ジュワッ・・・・!!!

私の胃液でクスリが溶かされる音 ―
それがたしかに聞こえた。
そして、その直後 ―
「ぎゃぁぁぁッ!!!」
私はこの世のものとも思えないような悲鳴をあげた。
激痛が、私の全身を貫いたのだ。
そのあまりの痛さに、身動き一つ出来なかったはずの私は、反射的に全身を仰け反らせ、イスから転げ落ちた。
もんどりうって診察室の床に叩きつけられる。
「ぐうッ・・・!!」
天井がぐるぐると回っている。
私を襲った激痛は、回転する天井とともに私の意識の中に混濁し、体全体がグニャグニャと変形するような錯覚に襲われる。
あああ・・・だんだんと意識が遠退いてゆく。
そ、そんな・・・まさかあたし、このまま死んじゃうの・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
「あ、・・・あれ・・・?」
床に倒れた痛みも、クスリを飲まされた痛みもすぐにウソのように消え去った。
なんかずいぶんと長い間苦しみ悶えていたような気がする。
でも、壁の時計を見るとほんの1、2分だわ・・・
いったいなんだったの?
私は右手で頭を支えるようにして、床に転がったままゴロリと体の向きを変えた。
気がつくと、全身の倦怠感もなくなっている。
「ふふふ、崎原さん、どうやら副作用がすっかりおさまったみたいだね」
先生が床に倒れている私の顔を覗き込む。
「あああ・・・はい、どうやらすっかり・・・」
私は自分でも不思議なくらい落ち着いていた。
先生の口からは相変わらず醜怪な肉棒がダラリとぶら下がっているというのに・・・
そしてこの肉棒は私の口、いや、胃の中へ得体の知れないクスリを捻じ込んだ不気味な肉棒だと言うのに。
いったい、どうしたことだろう?
私はどうしてこんなに落ち着いていられるのかしら?
「さぁ、崎原さん、そんなところに寝転んでないで起きなさいよ。ほら、つかまって・・・」
つかまってと言われて、先生の口から伸びるそれを私はためらわず手で掴んだ。
その瞬間、私の全身を、今度は言いようのない甘美な疼痛が貫いた。
あッ・・・ああ・・・ん・・・なに・・・これ・・・すご・・い・・・
どくどくと脈打っていて・・・ホント・・・すごいわぁ・・・
先生の肉棒を掴む私の手には絶え間なく快楽の疼きが送り込まれてくる。
そのパルスの一つ一つが私の脳髄を刺激し、大脳皮質をグニャグニャと侵食し始める。
「おおお・・・その手つき、たまらんなぁ・・・ゲフフフ」
いよいよ先生の顔つきは醜く変形し、肉棒を握り締める私の手の感触にだらしなく酔い痴れている。
「うふふふ、先生こそ・・・この肉棒の感触・・・たまりませんわ」
そんな信じられないような言葉が私の口からすべり出す。
狂おしい悦楽のパルスは、大きな波となってすでに私の全身にくまなく行き届いている。
先生の「肉棒」をつかみ、起き上がる私は、それをしごきあげるスピードを加速させた。
親指と人差し指で作った輪でいやらしく上下にグニグニと弄り始めるのだ。
そのたびに先生の口から伸びる肉棒は、その先端からドロドロとした透明な粘液を分泌する。
「グフフフッ!!いいぞ!もっとだ!もっとやってくれ!」
グルグルと目の玉を廻し、バックリと口をあけてダラダラとヨダレを垂れ流す先生。
大量の唾液が私の手から二の腕へと伝わり、脇の下までベチョベチョに濡らして、ブラをしていない私の上半身を濡れそぼらしてゆく。
ビチャビチャグチャグチャと、大きな音をあげて私はもう先生の肉棒を愛撫するのに夢中になっていた。
そして、ひと扱きするたびにボコボコと、先生の顔中からは別の肉棒が生えてくる。
先生の着ている白衣も、ところどころがモコモコと盛り上がっている。
「グフッ!!たまらんぞッ!全身やってくれッ!ほれッ!」
先生はそう言うと、口から伸びる肉棒を私に握らせたまま、自らの両手でビリビリと白衣を破り脱ぎ、あっというまに全裸となった。
その姿―
そこには、全身の至るところから逞しい陰茎を屹立させて、ドクンドクンという脈打ちとともにネバネバの先走り汁を滴らせているおぞましい異形の怪人が立っていた。
そう、この先生は人間などではなかったのだ ―
「ペニペニペニ〜、どうやら大成功のようだなッ!グフフフフッ!」
私を嬉しそうに眺めながら先生はそう言う。
大成功って?
何が大成功なのかしら?
先生は私を指差しながら、さらにこう言うのだ。
「ペニペニペニ〜!!!たいしたものだ!そこまで変貌を遂げるとは!ペニペニペニ〜!!」
変貌?
いやだわ、先生ったら・・・変貌って何?
まるであたしが何モノかに変わってしまったような口ぶりだわ。
あたしはほら、この通り、何も変わらないのよ。
いえ、あたしには最初から決まったカタチなどないの・・・
うふふ、そう・・・・あたしは・・・

つづく
  
Posted by sayaka_saotome at 22:48Comments(2)

2009年01月18日

ダイエット(IC06) その2

2.
よく見ると私の周りにふつふつと油のようなものが浮かんでいる。
なに?これ?湯船は毎日欠かさず掃除しているのに・・・?
「ちょ・・・いやだ・・・なによ、これ・・・」
私は気味が悪くなってきた。
油の量はどんどん増えてゆき、なんと、うっすらと水面(みなも)に油膜を張り始めたのだ。
「え?・・・えええ・・・?」
気がつくと私の二の腕や太腿、そして「ご立派だった」お腹がどんどん細くなってゆく。
そう、湯船に浮かぶ油は、私の体中の余分な脂肪分だったのだ。
私の体は、全身の毛穴という毛穴から無駄な脂肪がどんどん染み出して、みるみるうちにやせてゆく。
「いやッ・・・か、体が・・・干からびちゃう?・・・で、出なくちゃッ」
私がわが身の危険を感じたのも無理はない。
それぐらい急激な変化がわたしの体に訪れたのだから。
あわてて湯船から立ち上がり、私は洗い場へ飛び出した。

ブルンッ・・・!!

「きゃッ!」
突然、胸の辺りに疼痛を覚え、バストを抱え込むように腕をまわす。
か、抱え込むように・・・?
私は自分の動作が信じられなかったが、実際、胸が重たいのだ。
「・・・な、なにこれ・・・これが私?」
洗い場の鏡に私の全身が映し出されている。
たしかに、顔だけはかつての私の面影を残してはいたが・・・
そこには、小柄ながら8頭身の、ミスなんとかにエントリーされるような素晴らしいプロポーションの女性が立っていたのだった。
それまでの私はトップバスト98のAカップ、ようするにアンダーが88センチもあった。
それだけで私のデブさ加減がよくわかるというもの。
ところが、今はバストの隆起だけをのこしてアンダーがものすごく細くなっており、ウェストもキュッと絞られ、理想的なくびれが形成されていた。
「い・・・Eカップ・・・」
私はお風呂から上がると、巻尺を取り出してきてアンダーを測ってみた。
今までは見るのもいやだった巻尺だが、今はそんな気持ちもどこへやら。
な、78センチしかない・・・
トップとアンダーの差が20センチ、だからEカップというわけだ。
「す、すごい・・・これ、あのクスリのおかげなの?」
驚くやら、嬉しいやら・・・
しかし、喜びもつかの間、私はあることに気がついたのだった。
「ブラが無い・・・」
Eカップのブラなんて、うちにあるはずがない。
困ったわ・・・。
途方にくれる私 ―
明日とにかく午前中だけでも会社を休んで、買いに行かなければ。
とりあえず今夜のところはサラシでも胸に巻いておこうかしら?
もうあとは寝るだけだからその必要もないか・・・
そんなふうに、私は今までの自分では考えられなかった贅沢な悩みを楽しんでいた。
「あ・・・」
急に、眩暈が私を襲う。
いやだわ、のぼせたのかしら?
それにすごくだるい。
気分が悪いわけではなく、のぼせ特有の吐き気などはないが、とにかくだるい。
全身からあれよあれよと力が抜けてゆく。
すぐに歩くのがやっとの状態になってしまった。
「ま、まさか、副作用・・・?」
その晩私は、ベッドに倒れこむように眠り、翌朝早くにタクシーを呼ぶと、ブラを買いに行くまでもなく、再びあの診療所へ向かうことになったのだ。
まさかあのクスリ、ものすごい副作用があって、これからとんでもないことになるんじゃないかしら?
そんな不安を抱え、私はあの診療所のドアを押した。
なぜか今日は他に患者さんが一人もいない。平日だから・・・?
「崎原さーん」
受付の女性が私を呼ぶ。
さすがに少しも待たされずに診察室へ通された。
「うわぁ、崎原さん、すっごく素敵になりましたねッ!」
私が部屋へ入るなり、先生の第一声が診察室に響く。
この人、本当に医者なの?
普通、「どうしました?」って聞くもんじゃない?
そもそも具合が悪いから診療所へ来るものなのに・・・
そんな不満をブツブツと、聞こえないようにつぶやきながら、私は診察室のイスに座った。
「それが・・・痩せられたのはいいんですけど、ものすごくだるくて・・・歩くのもおぼつかないんです。」
私は自分の容態の一部始終を説明した。
「ああー、やっぱり副作用が出ちゃいましたか・・・でも、安心してください」
ふ、副作用?・・・
それに、「やっぱり」ってどういうことよ?・・・
「先生、このだるさ、なんとかならないんですか?」
私は不安になり、先生にすがる様に尋ねた。
しかし先生はいつもの涼しい顔でこう答える。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、その副作用はすぐになくなりますよ。
 それよりほら、ここにまた別のクスリがあるんですけど・・・
 崎原さん、もっともっと素敵な体になりたくはないですか?フフフフ」
え・・・?
その瞬間、先生の表情がガラリと変わる。
なんというか、その・・・
そう、「邪悪な光」 ― とでもいうの?
そんなものが、先生の眼に宿った感じがしたのだ。
ギクリとして、私はそんな先生の表情に目が釘付けになってしまった。
体が硬直してしまったような感覚に襲われる。
もとよりのだるさと相まって、手足がいうことをきいてくれない。
それになぜだろう?
このままここに居続けたら、なんだかとても悪いことが起きそうな気がするのに、私は先生から目をそらそうとも立ち上がろうともしなかったのだ。
「もちろん、飲むか飲まないかは崎原さんの自由ですよ。もうそこまで美しくなれたんですものね。
 必要ないかも、ですよねぇ・・・フフフフ」
先生は心にもなく私の気持ちを代弁してみせた。
もちろん、言葉とは裏腹に、そのクスリを私に飲ませたがっているオーラのようなものが全身から滲み出ているのだが。
ああ、そう・・・そうよ・・・あんなデブだった私がこんなに痩せられて・・・
それも夢のようなスタイルに・・・
だから、これ以上欲張ったりしてはいけないんだわ。
もう、これで十分。
このクスリは飲んじゃいけないの・・・
私の第六感がそう警告している。
で、でも・・・
目の前にクスリが差し出される。
私はそれを見て、
「結構です。副作用もじきにとれるということなら安心しました。どうもありがとうございました。」
そう言ったつもりだった。
そう言ってイスから立ち上がり、さっさと引き上げてしまいたかった。
しかし、言葉は私の口元から離れてゆかず、喉元を生暖かい吐息が流れただけだった。
こ、声が・・・でない・・・?
これも副作用?
いやだッ・・・何がじきによくなる、よ・・・どんどんひどくなるじゃない?
「あははは、声も出なくなっちゃったか・・・じゃぁ、ますますこのクスリを飲んでもらわなきゃ」
口元を卑猥に歪めて先生が笑う。
なんて下品な笑い方 ―
ち、ちがう・・・この先生は・・・
私のためにこのクスリを飲ませようとしているんじゃない。
何か私を自分の研究のために・・・
そう、人体実験でもしようとしているにちがいないわッ!
私は心の中でそう叫んだ。
そのとき ―

ニュルッ・・・!

つづく
  
Posted by sayaka_saotome at 00:02Comments(4)

2009年01月16日

ダイエット(IC06) その1

「さぁ、これを飲んでみて。」
目の前に差し出された小さな錠剤 ―
まだ少し不安もあったが、ここまで来たら今更後には引けない。
そんなことを考えながら、私はそれを受け取ると、いっしょに手渡された一杯の白湯(さゆ)で口の中へ流し込む。

ゴクッ・・・

「よくできました。これであなたは美しくなれますよ。」
白衣を着込み、縁なしのメガネをかけた、いかにも医者 ― といった風貌の男がニコリと笑う。
彼はこの病院の院長であり、そしてただ一人の医師である。
そう、ここは彼が運営している小さな診療所。
内科と心療外科なる科目を掲げ、一般の外来患者を相手に医療を営んでいる。
私の名前は崎原志津恵(さきはら しずえ)。
ここに通院している一人の患者である。
数日前から偏頭痛に悩まされていた私は、とうとう仕事も手に付かなくなったため、たまらずこの病院に飛び込んだというわけだ。
ここは私の住んでいる街では一番新しい診療所で、開業してからまだ半年も経っていない。
にも関わらず、すでに近隣住民から厚い信頼を受けており、評判はすこぶる良い。
隣町に行けば全国でも有数の名医たちがひしめく巨大な総合病院があり、ちょっと前まではこの街の住人も皆そちらへ通院していた。
しかし、この小さな診療所が出来るや否や、わずか1ヶ月足らずで内科と心療外科の患者さんだけはほとんど全員がこちらへ「鞍替え」してしまったのだった。
もちろん、近所なので通院に便利という物理的な理由もあるだろうが、なによりこの先生の確かな腕と気さくで明るい性格、そしてちょっとイケメン ― という要素によるところが大きいと私も思う。
初めてこの病院のドアを叩いたとき、私は最初の問診でここ数日間の生活で変わったところがないかを尋ねられた。
偏頭痛の原因を探るためだ。
そのときに白状したのだけれど、私はダイエットのためにかなり無理な食事制限をしていた。
先生によると、間違いなくそれが原因で体内のホルモンバランスが崩れ、偏頭痛が引き起こされたということだ。
そう、私は誰が見ても一目でわかるような肥満体型なのだ。
ぽっちゃりタイプ ― などという生易しいものではない。
身長は160センチそこそこしかないのに、体重は80キロをゆうに超えている。
はっきり言って「デブ」である。
「よくないねー、崎原さん。アナタまだ28じゃない。
 まだまだこれから女ざかりっていうこの時期にそんな無理なダイエットなんかしちゃだめだよん。」
私から話を聞いたあと、屈託の無い笑顔で先生はそう言った。
はぁ・・・まぁ、みんなそう言うのよね・・・
所詮、「デブ」の気持ちは「デブ」にしかわからないか・・・
この先生も同じだわ・・・
私は何百回となく聞かされたその言葉にうんざりし、先生の顔も見ずに「ハイハイ」と言わんばかりに聞き流していた。
「だから無理しないでダイエットすればいいんだよ。試してみる?」
「は?」
予想もしない問いかけに私は変な声を上げ、思わず先生の顔を見てしまった。
た、試してみる?・・・って?
聞き間違い?・・・ここ、病院よね・・・?
キョトンとしている私を無視して先生は続ける。
「体質のチェックをしなければならないから、とりあえず今から3日間、食事を普通に戻してあとで処方する薬を毎食後に一日3回欠かさず飲み続けてくださいね。」
話がどんどん進む。
私の都合などまったくお構いなしといった感じだ。
「あ、あの…」
「いいから、いいから。もちろんこれは治療費なんかいらないからね。
 僕は困っている人を見ると放っておけないんだよ。」
いや、そんなこと聞こうとしたわけじゃないんだけど…
っていうか、治療費いらないって、どういうことよ?
気が付くと、3日間飲むようにと渡された薬を手に、私は帰途に着いていた。
そんな簡単にダイエットなんてできるわけないじゃない・・・
私が今までどれだけ苦労してきたか・・・
しかし、溺れる者の弱さからか、悲しい乙女の性(さが)なのか、先生の指示通り、私はその日からきっちりと3日間クスリを飲み続けのだった。
そして、再びこの小さな診療所へ訪れたというわけである。
節食をやめてしまったので、このたった3日間のうちにまた2kgほど体重が増えてしまった。
それぐらいに私は太りやすい体質なのだ。
もう泣きたくなる。
「うん、大丈夫なようだね」
私の目の充血の様子や、舌の色など、一通りの触診をしながら、先生はいつものようにニコニコしながらそう言う。
人の気も知らないで、何が「大丈夫」よ…
おかげでこっちはこの1ヶ月間の苦労が水の泡なのよ。
そう、2kg落とすのには血の滲むような努力で1ヶ月ぐらいかかるのだ。
その苦労はダイエットを経験した人なら誰でもわかるはず。
「これで君は美しいカラダを手に入れたも同然だ。さぁ、これを飲んでみて。」
こうして私は、目の前に差し出された小さな錠剤を飲むことになったのだった。
「あんな錠剤一粒で痩せられるのなら苦労はないわ ―」
診療所からの帰り道、そんなことをブツブツ言いながら私は家に戻った。
夕食を済ませてお風呂に入る。
湯船に浸かりながらしげしげと自分の体を眺める。
はぁー・・・この三段腹・・・このぶよぶよの太腿・・・
出るのはため息ばかり ―
着たい服や試してみたいおしゃれもたくさんあるのに、どれもこれも自分には似合わないわ。
この体型じゃ、ね・・・
ホントにあんなクスリだけで痩せられるのかしら?
あの先生、いい加減なことを言ってたらただじゃおかないわ。
女心を玩(もてあそ)んだんだからね!
などと憤ってはみるが、湯船の中でブヨブヨと揺れるお腹の肉を見ると情けなくなってくる。
あーあ・・・私は一生このままデブで終わるのかしら・・・
「・・・あら?・・・変ね・・・」
私は、そのときになって初めて、自分の周りがいつもとは違うことに気がついた。
お風呂のお湯が、なんだかとってもヌルヌルしているのだ。

つづく
  
Posted by sayaka_saotome at 00:11Comments(2)